「‐髪結い伊三次捕物余話‐竃河岸(へっついがし) 」 ~主人公の行く末は…?~
普段あまり時代小説は読まない方だが、本好きの従妹が貸してくれたのをきっかけに、どっぷりはまった髪結い伊三次シリーズ。
1997年の「幻の声」から数えてシリーズ第15作目 。
毎年、新刊が出るのを楽しみにしていたが、残念ながらこれがシリーズ最後の1冊。
江戸の市井の人々のつましい生活が丁寧に描かれ、貧しさや不条理な世の中に時にやりきれなさを感じながらも、たくましく生きる登場人物に、いつも希望をもらっていた。
当初、恋人同士だった髪結いの伊三次と芸者のお文が所帯を持ち、子供が生まれ、赤ん坊だった子供も年頃になって、、、新しい本が出るたびに登場人物が成長していく姿を見るのも当シリーズの醍醐味。
でも、昨年11月、作者の宇江佐真理さんが亡くなって、登場人物の行く末は永遠に雲の中。絵師を目指す息子の伊与太は大成するのか、幼馴染の茜と結ばれるのか、伊三次とお文が将来どんな老夫婦になるのか…気になるけれど、それを知ることはもうできない。
なにより、新しい髪結い伊三次シリーズを読むことはもうないと思うと、ページをめくるのが惜しくて惜しくて…。
でも、ページをめくる手が止まらないんだよなぁ。
気が付けば、読み終わってしまった。
寂しい。
宇江佐真理さん、こんな素敵な物語を作り出してくれて、本当にありがとうございました。
どうぞ、天国で続きを書いてください。
そして、いつか、そちらで続きを読ませてください。
では、また次回。ごきげんよう。