「-日本人が八〇〇年、伝え継いだ本物の礼法- 一流の人はなぜ姿勢が美しいのか」 ~心正しく、体直くす~
年齢を重ねても佇まい(たたずまい)の美しい人にとても憧れる。
鎌倉時代から800年余り、上級武士の生活文化として継承されてきた小笠原流礼法の中に、その美しさのヒントがあるのではないかと 手に取ってみた1冊。
一流の人はなぜ姿勢が美しいのか―日本人が八〇〇年伝え継いだ本物の礼法
- 作者: 小笠原清忠
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2016/01/28
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
礼法というと、細かい約束事がたくさんあって、覚えるのが大変そう…というのが私の勝手なイメージ。食事の際のお箸の使い方やお茶碗の持ち方、フタの開け閉め等々。
でも、実は礼法の教えはとてもシンプルで、次の4つに集約されるという。
- 正しい姿勢の自覚。
- 筋肉の動きに反しない。
- 物の機能を大切にする。
- 環境や相手に対する自分の位置(間柄や間)を常に考える。
小笠原流は弓馬術と礼法が一体化したもので、その対象となるのは武士。世の中が平穏でも、何かことが起きれば即時に対応できる身構えを常に求められる。そのため、礼法は実用的で効用的であることが必要で、無駄な動きを省き、必要最低限の機能を使用することが大切になるという。
そう、礼法とは、実に合理的に出来ているのだ。そして、無駄が省かれた合理的な所作は、結果として美しさを備えている。
本書のタイトルにもなっている「姿勢」についても、小笠原流礼法の考え方は、とてもシンプル。それは、
「心正しく、体直く(たいなおく)す」。
「心正しく」とは「偽らざる心を持ち、常に平常心でいる」こと。「体直くす」は、文字通り「体をまっすぐに保つ」ことです。総ての動作の基本は、正しい姿勢をとることにあります。
礼法での「正しい立ち方」が紹介されていたため、実際にやってみた。
まず、両足は平行に踏みます。重心は両足の間、足の土踏まずの中央よりやや前の位置と、頭を結んだ一直線に落とすようにします。すると、全身はほんのわずかに前かがりの姿勢になります。 ・・・
頭は、耳が肩に垂れるように、顎が浮かないように、襟がすかないように据えると、背骨はまっすぐに伸びます。・・・さらに、肩は力を抜いて、左右の鎖骨を平らにして静かに下します。手を自然に下げ、小指を伸ばすような気持ちでいると、鎖骨が下がってきます。
…なかなか難しい。
でも、やってみて気がついた。普段、わりと姿勢がいいと言われる方だし自分でも気を付けているつもりだったが、私は重心の位置が微妙に後ろにずれている! それで、腰を痛めやすかったのかもしれない。礼法の正しい姿勢だと、腰にかかる負担が軽く感じる。
礼法は体と動作の調和を図るもの
所作は、単に姿かたちが整っていればよい、美しく見えればよいというものではない。自分をよく見せようと思うった段階で、「心正しく」はなくなってしまう。
まず、「心正しく」が前提にあり、所作は体の機能に即し理にかなったものでなくてはならない。一つ一つの所作にはちゃんと意味がある。
心を伴ってこそ、所作は美しい。
佇まいの美しいおばあさんを目指す私の修業はまだまだ続きそう。
では、また次回。ごきげんよう。