「わたしを離さないで」 ~見てから読むか、読んでから見るか~
「わたしを離さないで」が、ドラマ化されていると知った。
テレビをあまり見ないので、気づいてなかった。(←遅すぎ!)
実は、この本を読んだのは1年ほど前。
村上春樹が、新刊が出るのを楽しみにしている同世代の作家として挙げていたのが、カズオ・イシグロ。ハルキストの私としては、読まねばなるまい、、、と思い、まずはブッカー賞受賞作「日の名残り」を手に取った。
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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長年執事を務めてきた主人公の、端正な語り口で物語は進行。
淡々と時間が過ぎていく中、少しずつ少しずつ主人公の心の内が明らかになっていく。人生の終盤にさしかかった人間が感じる、自身の人生への誇り、深い後悔、そして自らの老い…。もう、やり直すことができない、過ぎ去ってしまった大切な時間。
胸がしめつけられるようだった。
でも、それでも、主人公は人生をあきらめない。
希望を感じさせるラストが、私は大好き。
すっかりカズオ・イシグロファンになった私が、次に手に取ったのが「わたしを離さないで」。本屋で「日の名残り」の隣に並んでいたから。
すっかり前置きが長くなってしまったけれど、もし、私のようにまだドラマを見ていなくて、本を読んでみようかと思っている方がいたら、、、
是非、ドラマを見る前に読むことをお勧めします!
もちろん、ドラマを見た後で読んでも、まったく問題ない。素晴らしい内容であることに何ら変わりない。著者も、内容を知った上で読んでも問題ないと言っている。
それでも、「わたしを離さないで」を読んでいて、初めの段階で感じる、強い違和感、それがいったい何なのかわからないもどかしさ。違和感の原因が明らかになっていく過程で感じる衝撃、、、そういった感情を味わえるのは、一度きりのチャンス。 私自身、たまたま何の予備知識も先入観もなく読むことができたことを、とてもラッキーだったと感じている。
…というわけで、今回は、内容についてのコメントは無し。
私も、1年ぶりに、また読んでみようかな。
内容を知った上で読んでみて、今度は何を感じるだろう…?。
では、また次回。ごきげんよう。